G1ベンチャー2023 第6部分科会T「フィンテックの最新潮流2023~すべての業種に及ぶ変革の可能性~」(2023年6月11日/グロービス経営大学院 東京校)甲斐真一郎×鶴岡裕太×丸山弘毅×岡島悦子
ブロックチェーン、AI、ビッグデータなどのテクノロジーを駆使して新たなビジネスモデルやサービスを次々と生み出し、消費者の体験を劇的に変えているフィンテック。その影響は金融業界だけでなく、あらゆる業種に及ぶ。2023年のフィンテックの最新トレンドは何か、そしてその先に見えるフィンテックの未来像とは。その最新潮流を解き明かす。(肩書きは2023年6月11日登壇当時のもの)
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甲斐 真一郎(株式会社FOLIO 代表取締役CEO)
鶴岡 裕太(BASE株式会社 代表取締役CEO)
丸山 弘毅(株式会社インフキュリオン 代表取締役社長)
岡島 悦子(株式会社プロノバ 代表取締役社長)
00:00 オープニング
00:33 議論のセットアップ
-(岡島氏)経営×組織という所で人的資本をやっている。このセッションのモデレーターの理由は、丸井グループの社外取締役を9年、マネーフォワードの社外取締役もやっている。
01:49 フィンテックとしての立ち位置
-(丸山氏)2015年にフィンテックの業界団体を立ち上げ、代表をやっている。自身の会社が誰でもフィンテック企業になれる技術基盤を提供することをしている。
-(鶴岡氏)BASEはECプラットフォーム、決済をやっている。インフラのプロダクトを組み込んでユーザーに提供している。
-(甲斐氏)ロボアドバイザーという自動資産運用系のサービスを展開。さらにロボアドバイザーの基盤を金融機関にSaaSで提供することもしている。
-(岡島氏)大きく3つ伺いたい。①フィンテックの最新動向は?②金融業界以外への影響とフィンテックの未来像③G1コミュニティへの提言、提案
06:24 フィンテックの最新動向・潮流
-(丸山氏)一周回り終わって、二周目に入っている。まだフィンテックか、と思っている方もいらっしゃるのではないか。使いやすさなど表層的なところからは結構変わってきている。ひとつは
裏側にあるインフラレイヤーがAPI、クラウドが当たり前になってきたり、CDBCやステーブルコインの議論がある中で根底が変わり始めている点。フィンテックのメインプレイヤーがやるべきプレイヤーに戻ったのが最近の潮流。誰もフィンテック企業になれる。お金を扱う企業ではなくお金を扱うデータを持っている会社が主役になっている。
-(鶴岡氏)フィンテックで成功した会社が数社しかないのに、言葉として長続きしているのはなぜか。
-(丸山氏)マネーフォワードやfreeeはそもそもクラウド会計やB2B決済などビジネスプロセスから 解決していた。
-(鶴岡氏)スタートアップに余白があったというよりは、丸井やSBI、楽天が強くなった。それまで強かった金融サービス企業が強くなった10年だと思った。
-(甲斐氏)今はアメリカも含めて新しいフィンテック事業者はほとんど出てきていない。アメリカは2013年にRobinhoodなど、日本では2015年にFinatext などが出てきて、1社2社だけが頭抜きんでてブランド確立できている状況。Robinhoodも現状厳しい状況になっている。ビジネスモデルとして残るのはクロスセル。
-(丸山氏)日本のフィンテックはスケールが違う。グローバルに出ないと限界が来る。技術を生かして プラットフォーム型に切り替わっていくというのが日本のフィンテックの特徴。
-(岡島氏)スケール化しないことのキーは何なのか。
-(丸山氏)ユーザーが使う時に、合理性や利便性だけで乗り換えてくれない。そのために日常の中で知らないうちに変革を経験するか、業界全体のルールを変えるしかない。
-(鶴岡氏)フィンテック、AIは提供する付加価値の一つにすぎない。ようやくここから金融にテクノロジーが足されるんだろうなと思っている。
21:01 金融業界以外の人にとってのフィンテックの意味合い
-(鶴岡氏)BNPL(後払い決済)がここ2,3年盛り上がっている。与信をもらうタイミングが劇的に変わったのはすごいイノベーション。インターネットだったら一晩で100万人の与信を発行できる。テクノロジーとフィンテックの良さはすごい感じる。
-(丸山氏)今までの金融は財務諸表みたいな終わったデータを分析して与信を与える。今はもう入金される前の行動データをリアルタイムで把握して、それを与信にして決済まで繋げていける。
-(岡島氏)金融業界以外のデータの持ち方は。
-(丸山氏)与信をして後からどうする、みたいな難しい分野もSaaSはある。自分たちが持っているデータと金融データをつなげられるような データベースにしてAPIに繋げる構造にしておく。
-(鶴岡氏)ある特定のデータを持っている価値は大きい。BASEでは将来の債券を買い取っている。自分たちしか持っていないデータがないと独自性が出せない。
-(丸山氏)金融の考え方は比較的、まとめて後から連絡。リアルタイムでコミュニケーションしながら、お金が払えなくなるのを防止するので、与信データもリアルタイムで更新されていく考え方に基づいてデータや構造を考えなくてはいけない。
-(甲斐氏)ロボ アドバイザーではよく言われるものは、非常にシンプルな質問に5個か10個答えて、その人のリスク許容度を5段階に分ける。AIは関係ない。100人100通りのアセットマネジメントがある。C向けはROBOPROというゴリゴリのAI。金融庁が3年のパフォーマンスを公開してくれたのだが、ダントツ1位だった。パフォーマンスは3年くらいやらないと誰も信じてくれない。それを応用してB向けに提供し始めている。
-(鶴岡氏)なぜ新規運用No.1になったのか?
-(甲斐氏)基盤を提供すると同時に運用業者として入っている。SBI証券の口座を使って運用を始めた 人が、我々の運用者になる。
32:54 生成AIチームを組成して何をやろうとしているのか。
-(鶴岡氏)BASEではユーザーのクリエイティブタイムを100%にするということを掲げている。BASEというプロダクトがあってその下にAIがあって、その下にフィンテックやマーケティング、ロジスティクスという優先順位のレイヤーで考えている。例えば商品説明文は全部自動で生成する。新規商品の半分以上は全部自動生成で書かれている。この反応を見ると、お金の管理や在庫管理などを全部自動化出来ると思っている。そのベースをAIにしようとしている。
-(丸山氏)今の話を聞くと、全部BASEに寄せないと成り立たないくらいになる。
38:04 質疑応答
-「ちいかわ エポスカード」のような、金融におけるマーケティングの可能性。
-鶴岡氏の世界観を実現するための鍵、障害は。
-既存のレガシーな金融が今後何からなくなっていくと思うか。
-グローバルの可能性とグローバルの脅威とは。
46:48 世界に勝てるテクノベート経営への提言
-(丸山氏)グローバルのイシューは多い。GDPRなどの問題はあるが、グローバルで統一することをいかに実現できるかなので、アーキテクト技術レベルと法律行政の連携、この2階層を分けて考え行く活動をしていく。
-(鶴岡氏)それぞれの 持ち場でいろんなソリューションを組み合わせながら、世界中の社会課題を解決できる。日本以外のドメスティックな課題にも向き合うチャンスが我々も出てくる。
-(甲斐氏)日本の資産運用というところだけに目を向けると、まだまだグローバルって言ってられない。投資を国民性ですし、2000兆円ある家計資産のうち、投資信託に回ったのは280兆円ぐらいしかない。ここを変えていかないといけない。行政の巻き込みが重要。新NISAで枠が拡大されるのは大きい。国民のパーセプションを変えていきたい。
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