科学技術とアートの融合 つくばサイエンスハッカソン

1697902155_hqdefault-6834745-7235927-jpg テクノロジー



作品の一般展示
【日時】5月10日(金曜日)から5月19日(日曜日)午前10時から午後6時まで(19日は午後4時まで)

【場所】さくら民家園(つくば市吾妻2丁目7番地5 中央公園内)

つくばサイエンスハッカソンは3回に渡って開催されました。
つくばサイエンスハッカソンでの作品制作テーマは「Holobiont(ホロビオント)」。複数の異なる生物が共生関係にあって全体を構成している状態のことをいいます。

DAY1
2019年3月2日(土曜日)、市内在勤の4名の研究者と4組のアーティストがそれぞれチームとなりテクノロジーを駆使した作品を制作。
初日は、研究者とアーティストの初顔合わせ、作品制作に向けたアイディアソンとチームビルディングを実施しました。
チームごとのアイディアソンでは、研究者が自身の研究分野を生き生きと話し、それを興味深く聞きながら次々とユニークなアイディアを書き留めていくアーティストの姿が見られ、知ること・表現することを楽しむ参加者同士のチームワークが生まれました。

サイエンスハッカソンでは研究者とアーティストとともに様々な”ホロビオント”を表現することを通して、これからの“共生”を考えます。

DAY2
2019年3月16日(土曜日)、市内在勤の4名の研究者と4組のアーティストがそれぞれチームとなりテクノロジーを駆使した作品を制作。

全3回のハッカソンのうちDAY2となるこの日のプログラムは、DAY1(3月2日)で結成したチームごとの作品試作(プロトタイプ)です。

DAY1でのアイディア発散とその後の研究室訪問を経てアーティストが考えた作品構想について、実際に試作(プロトタイプ)を行い、アイディアの実現可能性や作品仕様を検討していきました。

試作にはアーティストはもちろん研究者も参加します。キリンの首の骨を再現する作品の試作中には、研究者からの細やかな助言で実物に近い構造に改良を続けていく様子が見られました。

全体での作品仕様共有会では、朽ちるロボット、点在する小さな海、化石のアフォーダンス、無重力環境での人間の姿など、各チームから興味深いキーワードが次々と繰り出され、展示作品の制作に向け大きく動き出すことができました。

DAY3
2019年4月7日(日曜日)、市内在勤の4名の研究者と4組のアーティストがそれぞれチームとなりテクノロジーを駆使した作品を制作しました。

参加研究者
望山 洋氏(筑波大学、ソフトロボティクス(ソフトロボット学))
大森 裕子氏(筑波大学、生物地球化学、海洋物質循環)
芝原 暁彦氏(産業技術総合研究所、古生物学・博物館学・デザイン工学)
郡司 芽久氏(国立科学博物館筑波研究施設、解剖学・形態学)

参加アーティスト
くろやなぎてっぺい氏(企画、映像、音楽)
齋藤 帆奈氏(現代美術作家)
川崎 和也氏(ファッションデザイナー、デザインリサーチャー)
GADARA(清水 淳一氏(リーダー)ほか5名、インタラクションデザイナー)

アドバイザー
岩田 洋夫氏(筑波大学 システム情報系教授)
江渡 浩一郎氏(産業技術総合研究所 人間拡張研究センター主任研究員)
これまでDAY1での研究室訪問とアイディア発散を経て、DAY2でアーティストが考えた作品構想について実際に試作(プロトタイプ)を行い、DAY3となる今回は、5月10日(金曜日)から5月19日(日曜日)の展示に向けた、作品の中間発表を実施しました。

作品の概要は以下のとおりです。

望山先生とくろやなぎさん
Dying Robots(朽ちるロボット)

ロボットに有機的な身体を与え、自然の摂理の中に組み入れることで、ロボットを生物と同等の存在として観察する作品。民家園という場所から、糠(ぬか)に生息するロボットを制作し、糠樽の中のロボット、まな板の上のロボット、お皿に盛られたロボットから、ロボットに宿る生命観、また、常に変わりながら循環する糠とロボットの共生関係を垣間見る。

郡司先生とガダラ
Mammalianism Light(哺乳類的ライト)

キリンの首の骨の構造を模したライトが、人の行為をきっかけに反応し動く。見た目からは生物らしさが感じられない無機質なモノに対して、哺乳類的な要素を接続させることで、「生物の構造を模した人工物との共生」を体験をする作品。

大森先生と齋藤さん
The inner sea is opened(内なる海は開かれる)

人間と海の繋がりを、PHの酸性化、水温上昇、酸素濃度の低下の3つのパラメータの変化によって、私たちを取り巻く不可解で複雑な環境との相互作用から、複雑な因果関係を表現する作品。

芝原先生と川崎さん
An invitation for Assimilation, if not Annihilation.(全滅する気がないのなら、交雑せよ)

サイエンスフィクションをストーリーとして、恐竜の化石から得られる情報を基にフェイクフェザーを制作し、絶滅種との共生を想起させる。また、「人間と動物の融合」により可能となる新しい人間の機能や意識を探るため、キリンとの異種交配によって生まれうる人間の骨格を3Dプリンターで制作した作品を展示予定。

作品の発表前、発表後もアーティストからの質問に研究者が技術的助言をしている姿は、まさに科学とアートの融合を感じさせるものでした。

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