国立科学博物館のクラファン 初日に目標1億円突破の裏側…「国立」なのに寄付に頼る深刻な事情とは?【サンデーモーニング】|TBS NEWS DIG

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「地球の宝を守れ!」そう呼びかけてクラウドファンディングで寄付を募った国立科学博物館。目標の1億円を初日で達成し6億円を超えて増え続ける寄付はどうやって集まったのか。好きな人にはたまらない返礼品とは?そもそも、日本を代表する国立の博物館が、なぜ寄付に頼らざるを得なくなったのか。深刻な実情とは?背景には、先進各国の中でも文化政策への財政的支援が少ない日本政府の問題も?手作り解説でお伝えします。

■国からの交付金は年々減少

今回のクラウドファンディング、6億円が集まり支援者は約3万8千人。

資金難を訴えている国立科学博物館ですが、収入の8割を国からの交付金に頼っていて、これが長期的に減少傾向にあるため、苦しい運営が続いていました。

■標本などの維持・管理で苦しい運営

東京上野にある本館の展示物ですが、動物のはく製や恐竜の化石など、その数は約2万点。これは、国立科学博物館が所有しているもの全体の1%にも及びません。

茨城県つくば市の収蔵庫には、500万点もの標本などが保管されているのです。

動植物の標本や、化石、鉱物、科学技術史の資料など多岐にわたり、これらを維持・管理するためには、人員や空調などに多くの費用がかかります。

本来、整理して保管するべきものですが、数年前から、標本の保管スペースを確保できず、廊下に置かれたり、人手不足で整理できない状態のものが増えているのです。

2023年4月には新しい収蔵庫ができる予定でしたが、建設コストの高騰などにより遅れています。

■さらに“Wパンチ”で危機

こうした中、世界的なエネルギー高騰により光熱費は2020年から倍増。さらにコロナ禍で入場料収入が激減し、大きな打撃となって資金難に追い打ちをかけたのです。

その結果、事業費や研究費を削減し、標本などの維持・管理といった最低限のことも難しくなっているといいます。

■クラウドファンディングに望み…

そんな中で、今回、窮余の策として利用したのがクラウドファンディング。インターネットで自分のやりたいことを発表し、賛同してくれた人から寄付金を集める仕組みです。

新しい技術の商品開発や、地域の町おこし、難病患者の支援など様々な分野で利用され、目標を達成できない事例も多数ある中、わずか9時間で目標の1億円を達成しました。

これだけ寄付が集まった理由の一つが返礼品です。例えば、50万円の寄附で、戦後初の国産旅客機「YS-11」のコックピットに入れる体験。

1万5千円で研究者の”推し標本”を集めた「かはくオリジナル図鑑」など40種類以上が用意されました。見返りが少ない高額の寄付もたくさん集まりました。

■文化政策への支出が少ない日本…

国立科学博物館が、こうした寄付に頼らざるを得なくなった背景にあるのが、国からの支援の少なさです。

主要各国の文化政策への支出をみると、日本が最も少なく、国家予算に占める割合では、アメリカに次ぐ低さです。

未来につながる研究や宝をどれだけ守れるのか?国が果たすべき役割が問われています。

(「サンデーモーニング」2023年8月13日放送より)

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