近年、ラテンアメリカ諸国における暗号資産の採用が急速に進んでいます。そのような状況の中で、これまで規制の厳しかったボリビアが、6月25日（火）にビットコインの使用を解禁することを公表しました。この動きは、ECを使用した日常の買い物や、オンラインカジノ 仮想通貨など、人々の新たな経済活動を生む可能性も示唆しています。
では、なぜボリビアをはじめとしたラテンアメリカ諸国は、暗号資産の導入に積極的なのでしょうか？その背景には、経済的な不安定性、インフレ、そして金融システムの課題といった複数の要因が絡んでいます。本記事では、ボリビアの最新動向を中心に、ラテンアメリカ全体で進行する暗号資産の導入理由とその影響について詳しく解説します。
ボリビアのビットコイン解禁
ボリビアのビットコイン解禁の背景には、複雑な経済的・社会的要因が絡み合っています。2014年に中央銀行が暗号資産の使用を禁止して以来、ボリビアは厳しい規制を続けてきました。しかし、近年の経済状況の変化や、周辺ラテンアメリカ諸国での暗号資産採用の事例を受けて、その姿勢を180度転換する動きを見せています。
この方針転換には、複数の理由があります。まず、インフレーション対策です。ボリビアの通貨ボリビアーノは近年高インフレに悩まされており、経済復調に向けた活動が急務でした。そして、ビットコインはその供給量に上限があることから、インフレ・ヘッジとして期待されていいるのです。次に、海外送金の効率化があります。ボリビアは海外からの送金に大きく依存していますが、暗号資産の導入により、より迅速で低コストな送金が可能になると期待されています。
ただし、今回のビットコイン解禁によりボリビア市民がビットコインを決済に使用できるようになった一方で、法定通貨として認可されたわけではない点には注意が必要です。
ラテンアメリカ諸国の暗号資産採用に向けた動き
ボリビアに限らず、ラテンアメリカ諸国における暗号資産の採用は近年急速に進展しています。以下、主要国の事例を見てみましょう。
エルサルバドル
2021年にビットコインを法定通貨として採用。世界初の事例として注目を集めました。
アルゼンチン
暗号資産の好意的な姿勢を持つハビエル・ミレイ氏が大統領となったことで、高インフレに悩む国民の間で、ビットコインなどの暗号資産が事実上の価値保存手段として浸透しています。
ブラジル
ラテンアメリカ最大の経済大国であり、2022年に暗号資産の規制法案を可決。ブラジル証券取引委員会（CVM）は、暗号資産に関連する投資ファンドを認可しており、機関投資家の参入も進んでいます。
ラテンアメリカ諸国が暗号資産を導入する理由
ラテンアメリカ諸国が暗号資産に注目する理由として、経済的自立の追求が挙げられます。多くの国が米ドルへの依存度を下げ、より自立した経済システムを構築しようとする中で、暗号資産はその一つの手段として注目されています。また、今回のボリビアのように、インフレーション対策も重要な要因です。慢性的なインフレに悩まされてきた多くのラテンアメリカ諸国にとって、暗号資産は価値保存の新たな選択肢として期待されています。
さらに、海外送金の効率化も暗号資産導入を後押しする大きな理由となっています。出稼ぎ労働者からの送金は多くの国で重要な外貨獲得源であり、暗号資産はこのプロセスをより迅速かつ低コストで実現する可能性を秘めています。加えて、金融包摂の促進も見逃せません。銀行サービスへのアクセスが限られている地域で、暗号資産は新たな金融サービスの提供を可能にし、経済活動の活性化につながる可能性があるのです。
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