米証券取引委員会(SEC)が5月23日(木)にイーサリアム現物ETFの承認期限を向けるにあたり、その行方に関して議論が繰り広げられています。すでにビットコインの現物ETFは承認され、暗号資産(仮想通貨)全体が活況である一方、イーサリアム現物ETF承認の可能性によっては、市場が新たな風向きとなることも考えられるでしょう。したがって、本記事では承認の可能性とその影響について、各方面の見解を深掘りして解説します。
イーサリアム現物ETF承認を巡る動き
SECは1月10日(水)、ビットコイン現物ETF承認という歴史的なアクションを取りました。これに追随するように、イーサリアム現物ETFの承認が期待される一方で、多くのアナリストは5月23日(木)の承認期限日に対して悲観的な見解をしています。
その理由として、まずSECは暗号資産市場の透明性や取引の公正性について懸念を持っており、特に市場操作のリスクが指摘されています。したがって、これらの懸念が払拭されるかどうかが、最終的な決定に大きく影響すると考えられるでしょう。また、SECは市場の成熟度や規制環境の整備も重要視しており、これらの要素が整わなければ、承認が遅れる可能性があります。
加えて、SECはビットコイン現物ETFを承認したものの、このアクションはしぶしぶ実行されたものとなります。そのため、ビットコインについては認めるが、他暗号資産に対してはより一層の消極的な姿勢を見せているのです。
投資家への影響
SECがイーサリアム現物ETFを承認すれば、従来の投資家が暗号資産市場に参入するきっかけとなり、市場の流動性が向上。暗号資産市場全体にとって大きなプラス材料となり、多数のコインの価格上昇に貢献するでしょう。
しかし、承認が見送られた場合、市場には一時的な失望感が広がる可能性もあります。特に、投資家心理に与える影響は大きく、短期的な価格変動が予想されます。そのため、投資家はSECの動向や暗号資産特有のボラティリティに注視し、慎重な判断を行う必要があります。
イーサリアムの最新動向
イーサリアム現物ETF承認に向けては雲行きが怪しい一方で、イーサリアムの価値を支える好材料となる、最新動向を以下紹介します。
市場価格が3,140ドルを突破
5月に入り、当初は3,000ドルを割るほどの低調さで価格が推移していたイーサリアム。しかし、5月17日(金)に反発し、現時点では3,140ドルを超えています。この背景には、米司法省が暗号資産に対する予想外の規制緩和を発表したためです。
具体的には、暗号資産取引所に対する規制が緩和され、これにより市場全体がポジティブに反応しました。加えて、ネットワークのデータも強気の兆候を示しており、取引量とアクティブなアドレス数の増加が見られました。このような理由が、イーサリアムの価格上昇に影響したのです。
技術的進展と分散化への取り組み
イーサリアムの共同創設者であるヴィタリック・ブテリン氏は、マイナーが取引順序を操作して利益を得る行為(MEV)への対策をすることによる、ネットワークの分散化を進めるための新しい提案を発表しました。
さらに、ステーキングの改善策についても発言を行いました。現在、ステーキングには32ETHが必要ですが、この要件を緩和することで、より多くの人が参加できるようにすることを目指していくことを明言したのです。また、ステーキングのプロセスをより安全で分散化されたものにするための新しい方法も検討しているとされています。これにより、イーサリアムの利用者は増加し、そのエコシステムは一層発展することが期待されます。
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