ヨーロッパ(オランダ)では、今年で8回目となる「欧州選手権」が開催されました。歴史の浅い大会にも関わらず、やはり「欧州チャンピオンジャージ」を着用できるということで、あっという間に価値の高い大会として選手たちに受け入れられてきました。自転車レースにおいては、「チャンピオンジャージ」の存在は絶大です。
そんなわけで、今週は「CCRウィークリーニュース 9月26日号」と題して、この一週間に起きた出来事などをご紹介します。
◯欧州選手権はCラポルトが初優勝(ユンボ勢がワンツースリー)
前述した欧州選手権は、9月24日(日)に最終日の種目が開催され、男子エリートロードレースでは、フランス代表のCラポルト(ユンボ)がラストラップで単独で抜け出し、僅かな差を守り切ってフランスに初めての欧州チャンピオンのタイトルをもたらしました。なお、フランス代表のTヴォクレール監督は着任後、世界チャンピオン2回、欧州チャンピオン1回と優れた采配を発揮し続けています。また、このレースは国別対抗戦でしたが、所属チーム別に見ると、ブエルタに続いてユンボ勢がワンツースリーフィニッシュを飾ったことになります。
2023 LAPORTE|VAN AERT|KOOIJ
2022 JAKOBSEN|DÉMARE|MERLIER
2021 COLBRELLI|EVENEPOEL|COSNEFROY
2020 NIZZOLO|DÉMARE|ACKERMANN
2019 VIVIANI|LAMPAERT|ACKERMANN
2018 TRENTIN|VAN DER POEL|VAN AERT
2017 KRISTOFF|VIVIANI|HOFLAND
2016 SAGAN|ALAPHILIPPE|MORENO
◯Nファンホーイドンクが引退を発表
ユンボ所属のNファンホーイドンク(ベルギー)が、プライベートで奥さんを乗せた自家用車を運転中に心臓疾患により一時的に意識を失い、交通事故を起こしてしまいました。幸いなことに、事故による怪我はありませんでしたが、その後の検査で心筋に異常が見つかり、ペースメーカーを埋め込む手術を受けたため、2022年に心肺停止状態に陥ったSコルブレッリと同様に、残念ながら引退が発表されました。自転車選手の心臓疾患は以前から多く報告されており、定期的な健康診断の重要性がますます高まっています。
◯ユンボ・ヴィスマとスーダル・クイックステップの合併の噂が広まる
自転車ロードレース界にまさかの激震が走りました。現在、ワールドランキング2位のユンボ・ビスマと同3位のスーダル・クイックステップが、早ければ2024年に合併する可能性があると報じられました。PルフェーブルGMがノーコメントとしたことから、実際に交渉が行われた可能性が示唆されています。報道によると、ユンボ側からウルフパック側への打診があったようで、実現すれば実質的にはユンボがウルフパックを吸収する形になります。両チームともにチーム経営の肥大化によるスポンサー問題を抱えていたため、一見すると良い選択肢のようにも思えますが、一方で、最大30人の選手が契約を失い、さらにチームスタッフも職を失うことになってしまいます…。ユンボ社やスーダル社などはあくまでドメスティックな企業であり、イネオスやUAEなどの巨大資本に対抗するには既に限界に達している状況なのかもしれません。
◯Mカヴェンディッシュが現役続行?Nキンタナがワールドチームへ復帰?
今季限りでの引退を表明しているMカヴェンディッシ(38歳/イギリス/アスタナ)の現役続行と、2022年のツール・ド・フランスでUCIが禁止している鎮静剤トラマドールが検出されたNキンタナ(33歳/コロンビア/浪人中)のワールドチーム復帰が噂されています。前者については現役続行がかなり濃厚になってきたようですが、後者についてはまだまだ噂レベルの域を脱していない模様です。共に2010年代のロードレースシーンをスプリンター&クライマーとして大いに盛り上げてきた二人ですが、現状では明暗が分かれている状況です…。今後の正式な発表を待ちたいと思います。
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